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きはやし
えゝ、
城ヶ
沼の。はあ、
夢中で
其処ら
駆廻らしつたものと
見える……それは
山の
上では
無い。お
前様が
温泉へ
来さつしやつた
街道端の、
田畝に
近い
樹林の
中にある
大い
沼よ。
凡そ
人間が
滅びるのは、
地球の
薄皮が
破れて
空から
火が
降るのでもなければ、
大海が
押被さるのでもない
飛騨国の
樹林が
蛭になるのが
最初で、しまいには
皆血と
泥の
中に
筋の
黒い
虫が
泳ぐ