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かいたいもん
此日雲飛は
待ちに
待つた日が
來たので
夜の
明方に
海岱門に
詣で見ると、
果して一人の
怪しげな男が
名石を
擔いで
路傍に立て居るのを見た。
處で、
此の
蒋才子、
今日も
又例の(
喜偶歩。)で、
靴の
裏皮チヤラリと
出懸けて、
海岱門と
云ふ、
先づは
町盡れ、
新宿の
大木戸邊を、ぶらり/\と、かの
反身で、
婦が
突當つてくれれば
可い
夢に
一個の
風采堂々たる
丈夫が
現れて、自分は
石清虚といふものである、
決して
心配なさるな、君と
別れて居るのは一年
許のことで、明年八月二日、
朝早く
海岱門に
詣で
見給へ