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おきかへ
語句 | 割合 |
起返 | 60.0% |
起回 | 20.0% |
置易 | 20.0% |
旗野の
主人は
血刀提げ、「やをれ
婦人、
疾く覚めよ」とお村の
肋を
蹴返せしが、
活の
法にや
合ひけむ、うむと
一声呼吸出でて、あれと驚き
起返る。
思ひも懸けず宮の
入来るを見て、
起回らんとせし彼の
膝下に、早くも女の
転び来て、立たんと為れば
袂を執り、
猶も
犇と寄添ひて、物をも言はず泣伏したり。
呼べど
号べど、宮は返らず、老婢は居らず、貫一は
阿修羅の如く
憤りて起ちしが、又
仆れぬ。仆れしを漸く
起回りて、
忙々く
四下を
眴せど、はや宮の影は在らず。
昨夜の収めざる
蓐の内に貫一は着のまま
打仆れて、
夜着も
掻巻も
裾の
方に
蹴放し、
枕に
辛うじてその
端に
幾度か
置易られし
頭を
載せたり。