“えぐ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
68.5%
23.8%
4.4%
1.2%
0.8%
0.4%
回具0.4%
黒慈姑0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
まるで、悲しむような、それでいて、異常な興味をたたえている、えぐるような視線を、船待ちの屍体のうえに注いでいるのだった。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
二人がひそひそと語らいながら、私の顔を見ては何事か笑い興ずるような時など、私は胸をえぐってなぶり殺しにされるような思いがした。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
と、唇をかんだ金吾は、えぐるような彼の声に、歩足の自由を奪われたかの如く、まッたく色を失いかけました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、四つの幡を合せたえぐり紐を引き抜いて、あらかじめ両脇に廻らして置いた紐を徐々に下ろして行ったのだ。
夢殿殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
此のていたらくを見て、小平の逃げるに構わず突然いきなりおかくばゝあ一刀ひとたちあびせかけると、おかくはキャッと声を上げて倒れる其の上へ乗しかゝり、喉元をえぐっているうしろへ小平がそっと𢌞り
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
酢っぱくって渋くって泡の立つ葡萄酒のような、コクの強い、野蕃な海なんだ。波のしぶきが降って来る。腹をえぐるような海藻の匂いがする。
(新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
山沢にえている回具えぐみにゆく日なりと都合してあなたにお逢いしましょう。母にしかられても、というので、当時も母が娘をいろいろ監視していたことが分かる。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
餓えて憩っている老翁のために魚鳥の獲ものの剰ったのを持って来て呉れたり、菱の実や、黒慈姑えぐを持って来て呉れたりした。雨露を凌ぐこもの小屋さえ建てて呉れた。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)