“いとだて”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
糸楯27.8%
糸経22.2%
糸立16.7%
絲楯11.1%
絲經5.6%
糸径5.6%
糸盾5.6%
絲徑5.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
雨のしょぼしょぼ降る午後の二時頃菅笠すげかさをかぶり、糸楯いとだてを着て、わらじがけでとぼとぼと峠を上ると、鬱蒼うっそうとして頭の上に茂った椎の木の梢で、男と女の声がする。
怪談 (新字新仮名) / 平山蘆江(著)
彼の頬被りした海水帽かいすいぼうから四方に小さな瀑が落ちた。糸経いとだてを被った甲斐もなく総身濡れひたりポケットにも靴にも一ぱい水がたまった。彼は水中を泳ぐ様に歩いた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
あとにをんな亭主ていしゆかへつてたならばませようと思つて買つて置いた酒をお客にましてしまつたのですから、買つて置かうと糸立いとだていて手拭てぬぐひかむ
松島から中部なかつぺまで、直下といつてもよかつた、東岸には中部の大村があつて、水楊は河原に、青々と茂つてゐる、裸体に炎天よけの絲楯いとだてを衣た人足が、筏を結んでゐる、白壁の土蔵が見える
天竜川 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
たゞ絲經いとだてを身に着け、草鞋を穿いて、アルペン・ストックの代りに蝙蝠傘をついてゐるといふ不思議な行裝であつた。
山岳美観:02 山岳美観 (旧字旧仮名) / 吉江喬松(著)
しかもその登山者等の服裝は、決して往時の講者等の白衣、金剛杖、絲經いとだて、草鞋なぞといふものではない。リュツクサック、アルペンストック、靴穿きである。
山岳美観:02 山岳美観 (旧字旧仮名) / 吉江喬松(著)
始めは繋り合う木の葉にさえぎられているが、次第次第に烈しく落ちて、枝がぬれ、幹がぬれ、草がぬれ、自分らのまとっている糸径いとだてがぬれ、果ては衣服にもとおる。
木曽御嶽の両面 (新字新仮名) / 吉江喬松(著)
それは糸盾いとだてを抱えた辻君つじぎみ姿のわかい女であった。
南北の東海道四谷怪談 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
始めは繋り合ふ木の葉に遮ぎられてゐるが、次第/\に烈しく落ちて、枝がぬれ、幹がぬれ、草がぬれ、自分等の纒つてゐる絲徑いとだてがぬれ、果ては衣服にも泌み透る。
山岳美観:02 山岳美観 (旧字旧仮名) / 吉江喬松(著)