“あばた”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アバタ
語句割合
痘痕51.5%
菊石29.4%
痘瘡5.9%
菊花石4.4%
疱瘡2.9%
痘面1.5%
痙斑1.5%
菊面1.5%
面疽1.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「疱瘡ですって? なるほどそう仰しゃれば、あの男には痘痕あばたがあったっけ! ですがなんだってまたあなたは……。」
これまで見たことのある厭な意地くねの悪い顔をいろいろ取りだして、白髪のかつらの下へめて、鼻へ痘痕あばたを振ってみる。
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
「なぜにもなにも、袖をひきちぎって、すっかり顔をつつんでおりまして、菊石あばたやら、ひょっとこやら、てんで知れない」
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そのあとは太鼓のかげの暗いところにしゃがんで待機していた坊主頭で大菊石あばたのある浅草亭馬道ばどうという人が上がった。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
痘瘡あばたの中に白眼しろまなこいて、よたよたと立上って、いきどおった声ながら、
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼は急いで瓦のカケラを拾い上げ、もう一度前へ行って、今度は力任せにぶっ叩いて黒門の上に幾つも痘瘡あばたが出来た時、ようやく人の出て来る足音がした。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
親方の米櫃こめびつからだとみえる。——左次郎はそんなことを考えながら、銅鑼という通称をとった彼の菊花石あばたを眺めていた。
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
菊花石あばたの顔を少しけわしくして、電光いなびかりのように、しきりと右の眼をしかめている様子。
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三年このかた彼がこの著物きものに手を通したのは只の二度切りで、一度は彼の大きらいな疱瘡あばた阿四あしが病気した時、もう一度は彼の店を叩き壊した魯太爺ろだんなが死んだ時だ。
風波 (新字新仮名) / 魯迅(著)
さらに天文学の発達が、月を疱瘡あばた面の醜男ぶをとこにし、天女の住む月宮殿の連想を、荒涼たる没詩情のものに化したことなども、僕等の時代の詩人が、月への思慕エロスを失つたことの一理由であるかも知れない。
月の詩情 (新字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
年長の先輩は、あば辰という異名を持っていた。顔に薄い白痙斑あばたが浮いているからである。若い方は、樺太と呼ばれる。樺太で土工を稼いでいたからだ。
泡盛物語 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
異相といっても藪覗ひんがらめ菊面あばたのというのではない。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「今晩は商用だよ」と云って、にやりと面疽あばたのある口元で笑って、帽子をなおしながら、「ありがとう」
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)