疱瘡あばた)” の例文
三年このかた彼がこの著物きものに手を通したのは只の二度切りで、一度は彼の大きらいな疱瘡あばた阿四あしが病気した時、もう一度は彼の店を叩き壊した魯太爺ろだんなが死んだ時だ。そうして今がちょうど三度目だ。
風波 (新字新仮名) / 魯迅(著)
さらに天文学の発達が、月を疱瘡あばた面の醜男ぶをとこにし、天女の住む月宮殿の連想を、荒涼たる没詩情のものに化したことなども、僕等の時代の詩人が、月への思慕エロスを失つたことの一理由であるかも知れない。
月の詩情 (新字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)