黒雲こくうん)” の例文
その雪途ゆきみちもやゝ半にいたりし時猛風まうふうにはかにおこり、黒雲こくうんそら布満しきみち闇夜あんやのごとく、いづくともなく火の玉飛来りくわんの上におほひかゝりし。
とき耶、燕王の胸中颶母ばいぼまさに動いて、黒雲こくうん飛ばんと欲し、張玉ちょうぎょく朱能しゅのうの猛将梟雄きょうゆう、眼底紫電ひらめいて、雷火発せんとす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ただそういう景色だけ見ても随分素晴らしいものですが、時に黒雲こくうん飛んで大風起ると同時に、湖面は大なる波濤を揚げて愉快なる音響を発します。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
けれど、徐々に、片手に剣をさげた武蔵の姿が、沛雨はいうをつつんだ一黒雲こくうんのように、敵のしんへ、やがて降りかかるものを、恐怖させていたことはたしかである。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「しかしこの怪事件について、博士はじぶんの上に疑惑ぎわく黒雲こくうんを、呼びよせるようなことをしている」
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
よ、巨浪なみいかりててんき。 黒雲こくうんひくうみる。
その雪途ゆきみちもやゝ半にいたりし時猛風まうふうにはかにおこり、黒雲こくうんそら布満しきみち闇夜あんやのごとく、いづくともなく火の玉飛来りくわんの上におほひかゝりし。
りうねむれる日本海につぽんかい。 黒雲こくうんべる東洋とうやうの。