高声こうせい)” の例文
旧字:高聲
一人の山法師は、大講堂のえんに立って、吉水から法然上人以下百九十余名の名をもって送ってきたという誓文せいもんを、朗々と、高声こうせいで読み初めた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
であるからして自分が唐詩選とうしせんでも高声こうせいに吟じたら気分が晴々せいせいしてよかろうと思う時ですら、もし自分のように迷惑がる人が隣家に住んでおって
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
老女「左様なお高声こうせいを遊ばすとかえって御病気に障ります、左様な心得で五郎治が申した訳ではありません」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わがの玄関には毎日のやうに無性髯ぶしょうひげそらぬ洋服の男来りて高声こうせいに面会を求めさうさう留守をつかふならばやむをえぬ故法律問題にするなどと持前もちまえのおどし文句を
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
高声こうせいさわいでいたと知らせて来た者がある。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ところが教育のある君子の事だから、こんな事でおとなしく聞く訳がない。追い出されればすぐ這入る。這入れば活溌なる歌をうたう。高声こうせいに談話をする。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
総奉行そうぶぎょう大久保長安おおくぼながやすと、検証けんしょう鐘巻一火かねまきいっか自身じしんできて、なにかしきりと高声こうせいべんじているのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此の者どもが御場所柄をもわきまえず大声おおごえに罪を争います為態ていたらく、見るに忍びず、かく申す文治までがお奉行職の御面前にて高声こうせいを発したる段重々恐れ入ります、お此の上一言いちごん申し聞けとう存じます故
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
席次不同に思い思いの座を占めてはいるが、高声こうせいに語るもの、笑うものは一人もなかった。僧は皆紺麻こんあさ法衣ころもを着て、正面の曲彔きょくろくの左右に列を作って向い合せに並んだ。その曲彔は朱で塗ってあった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
御癇癖ごかんぺきが強く、いさゝかな事にも暴々あら/\しくお高声こうせいを遊ばして、手打にするなどというはげしい御気性、そこでどうも御舎弟様にはつきが悪いので上屋敷へへつらう者も多いが、今大殿様もお加減の悪い処であるから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
奉行は高声こうせいに叱りつけて、更に言葉をやわらげられ
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)