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颪
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おろ
ふりがな文庫
“
颪
(
おろ
)” の例文
箱根山脈の駒や
足高
(
あしたか
)
や乙女には、まだ雪の
襞
(
ひだ
)
が白く走っていた。そこから
研
(
と
)
ぎ
颪
(
おろ
)
されて来る風は春とも思えない針の冷たさを含んでいる。
篝火の女
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
涼しい、生き返るような風が一としきり長峰の方から吹き
颪
(
おろ
)
して、汗ばんだ顔を撫でるかと思うと、どこからともなく
蜩
(
ひぐらし
)
の声が金鈴の雨を
聴
(
き
)
くように聞えて来る。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
強くはないが物を吹き
透
(
とお
)
すような鋭い北西の風が石垣の岩角を掠めて、折々窪地へ
颪
(
おろ
)
して来る、毛布にくるまって雑談に耽っていた私達は、皆急いで天幕へ這入った。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
その露の
鏤
(
ちりば
)
むばかり、蜘蛛の囲に色
籠
(
こ
)
めて、いで
膚寒
(
はださむ
)
き
夕
(
ゆうべ
)
となんぬ。山から
颪
(
おろ
)
す風一陣。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ドッと
颪
(
おろ
)
して来た
御岳嵐
(
おんたけあらし
)
、なびくは雑草、波を
蜒
(
うね
)
らし、次第に拡がり、まるで海だ! 泡となって漂うのは、咲き乱れている草の花! 掻き立てられた薬草の香が、プーッと野っ原を吹き迷う。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
どうっ——と
山巓
(
さんてん
)
からふき
颪
(
おろ
)
してくる暁闇の大気が、武蔵のからだへ雨かとばかり
雫
(
しずく
)
を落し、松のこずえや大竹藪を
潮騒
(
しおさい
)
のように山裾へ
翔
(
か
)
けてゆく。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
河上から折々雲が
颪
(
おろ
)
して来て、谷の空気が潮の退くように
仄
(
ほのか
)
に薄曇ると、濃藍色をした深い上流の山の端から、翠の影がさっと谷間を流れて、体がひやりと冷たくなる。
釜沢行
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
一たびも日金が
颪
(
おろ
)
さず、十四五年にも覚えぬという
温暖
(
あたたか
)
さ、年の内に七分咲で、名所の梅は花盛り、紅梅もちらほら交って、何屋、何楼、娘ある
温泉宿
(
ゆやど
)
の蔵には、
雛
(
ひな
)
が吉野紙の
被
(
かつぎ
)
を透かして、あの
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“颪”の解説
颪(おろし)とは、冬季に山や丘から吹き下ろしてくる風の呼称である(山颪)。
(出典:Wikipedia)
颪
漢検1級
部首:⾵
12画
“颪”を含む語句
山颪
一時颪
筑波颪
赤城颪
四明颪
伊吹颪
比叡颪
木颪
胆吹颪
秩父颪
男体颪
日金颪
白根颪
白河颪
石山颪
薩摩颪
那須颪
金剛颪
金峰山颪
金峰颪
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