顔回がんかい)” の例文
そのうえ皆は私に「顔回がんかい」という綽名をつけた。書いたものからだろう。顔回は恐れ入るが肱枕ひじまくらでごろをするところだけは似ている。
結婚 (新字新仮名) / 中勘助(著)
「なるほど。甘羅かんら子牙しが顔回がんかいなど、史上の人物を並べて、生意気なことをいってるらしいな。ひとつ呼び入れて、からかってやろうか」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小町こまちの真筆のあなめあなめの歌、孔子様のさんきんで書いてある顔回がんかいひさご耶蘇やその血が染みている十字架の切れ端などというものを買込んで
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
季康子問う、弟子たれか学を好むとす。孔子こたえて曰く、顔回がんかいというひとありて学を好みしが、不幸短命にして死し、今は則ちし。(先進、七)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
「いかん、人間は毎日二升の水を飲むべしだ、顔回がんかいは一ぴょうの飲といったが、あれは三升入りのふくべだ、聖人は」
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
首陽山にを採るは伯夷はくい叔斉しゅくせいが生活を保たんがためなり。箪食飄飲たんしひょういん顔回がんかいが生活を保たんがためなり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
西暦千七百、千九百、笑いなさい、うんと笑いなさい、あなたは自分の才能にたよりすぎて、師を軽蔑しているのです、むかし支那に顔回がんかいという人物がありました
千代女 (新字新仮名) / 太宰治(著)
孔子がいつも口を極めてめる顔回がんかいよりも、むしろ子貢の方を子路は推したい気持であった。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
人皆原憲げんけん顔回がんかいたれというのでは無いが、蓬樞甕牖箪食瓢飲ほうすうおういうたんしひょういんでも幸福の存し得るものであることを会し得て的確ならば、貧もまたのみ厭わねばならぬもので無いことは明らかである。
貧富幸不幸 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そのあとに孔子の最も愛した弟子顔回がんかいに対する批評の言葉がくる。顔回は一日話していても反問するということがない。ばかのようである。しかるに陰ではちゃんと道を実行している。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
顔回がんかい わかじに
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)