頃刻けいこく)” の例文
寶鼎はうてい金虎きんこそんし、芝田しでん白鴉はくあやしなふ。一瓢いつぺう造化ざうくわざうし、三尺さんじやく妖邪えうじやり、逡巡しゆんじゆんさけつくることをかいし、また頃刻けいこくはなひらかしむ。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
陽明微哂びしんして曰く、「此心光明、亦復何言。」(この心光明、またまたなにをか言わん)と。頃刻けいこくありて瞑目めいもくして逝けり。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
すると、ひざも、腹も、胸も、恐らくは頃刻けいこくを出ない内に、この酷薄こくはくな満潮の水に隠されてしまうのに相違あるまい。
尾生の信 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
一体世界のあらゆる潮流は頃刻けいこくやすまないのに、1720
りかゝつた胸の離れなかつた、机のそばにこれを受取ると、ひたいに手を加ふること頃刻けいこくにして、桂木は猛然として立つたのである。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)