とよ)” の例文
「卯の花もいまだ咲かねば霍公鳥ほととぎす佐保の山辺に来鳴きとよもす」(巻八・一四七七)等があって、佐保には鳥の多かったことが分かる。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
此寺の落慶供養のあったのは、つい四五日あとであった。まだあの日の喜ばしい騒ぎのとよみが、どこかにする様に、ふもとの村びと等には、感じられて居る程である。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
故郷ふるさと今日けふとよまむ秋草のけてしづけきかかる日差を
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
つ鳥 雉子きぎしとよむ。
ういう使い方は万葉にも少く、普通は、鳴きとよむ、ぎとよむ、鳥が音とよむ等、或は「山吹の瀬のとよむなべ」(巻九・一七〇〇)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「春日なる羽易はがひの山ゆ佐保の内へ鳴き行くなるはたれ喚子鳥」(巻十・一八二七)、「答へぬにな喚びとよめそ喚子鳥佐保の山辺をのぼくだりに」(同・一八二八)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)