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隠々
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いんいん
ふりがな文庫
“
隠々
(
いんいん
)” の例文
その仕事への無意識の関心が彼を自殺から
阻
(
はば
)
む役目を
隠々
(
いんいん
)
のうちにつとめていたことに気がついた。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
程立
(
ほどた
)
って力無げに
悄然
(
しょんぼり
)
と岩の間から出て、流の
下
(
しも
)
の方をじっと
視
(
み
)
ていたが、
堰
(
せ
)
きあえぬ
涙
(
なみだ
)
を
払
(
はら
)
った手の甲を
偶然
(
ふっと
)
見ると、ここには
昨夜
(
ゆうべ
)
の煙管の
痕
(
あと
)
が
隠々
(
いんいん
)
と青く現れていた。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
なほ
稍明
(
ややあか
)
くその色
厚氷
(
あつこほり
)
を懸けたる如き西の空より、
隠々
(
いんいん
)
として寂き余光の遠く
来
(
きた
)
れるが、
遽
(
にはか
)
に去るに忍びざらんやうに
彷徨
(
さまよ
)
へる
巷
(
ちまた
)
の
此処彼処
(
ここかしこ
)
に、軒ラムプは既に点じ了りて、新に白き
焔
(
ほのほ
)
を放てり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
尤
(
もっと
)
も私に、
臨済
(
りんざい
)
と、
普化
(
ふけ
)
との、消息を教えて下すって、臨済録の『勘弁』というところにある『ただ空中に
鈴
(
れい
)
の響、
隠々
(
いんいん
)
として去るを聞く』あれが鈴慕の
極意
(
ごくい
)
だよ、と教えて下すった方はありました。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
隠
常用漢字
中学
部首:⾩
14画
々
3画
“隠”で始まる語句
隠
隠匿
隠岐
隠蔽
隠密
隠袋
隠家
隠居
隠遁
隠棲