陶淵明とうえんめい)” の例文
しかれども詩情もまたおおき人たりしは疑う可からず。詩においては陶淵明とうえんめいし、笠沢りゅうたく舟中しゅうちゅう陶詩とうしを読むの作あり、うちに淵明を学べる者を評して
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
竹渓は家にとどまり、座右の手函てばこおさめた詩草を取出してこれを改刪かいさんしやや意に満ちたものおよそ一百首をえらみ、書斎の床の間に壇を設けて陶淵明とうえんめいの集と、自選の詩とを祭った。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
破れたまがきの前に座して野菊と語った陶淵明とうえんめいや、たそがれに、西湖せいこの梅花の間を逍遙しょうようしながら、暗香浮動の趣に我れを忘れた林和靖りんかせいのごとく、花の生まれ故郷に花をたずねる人々である。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
昔から東晋とうしん陶淵明とうえんめい先生の撰ということになって居りますが、その作者については種々の議論がありまして、『捜神記』の干宝よりも、この陶淵明は更に一層疑わしいといわれて居ります。
こんなところにぐずぐずしていたッて、一文の御礼さえもらえないんだろうからという気になって、心で、陶淵明とうえんめいの「帰んなん、いざ——いざ、帰んなん」をとなえた。この方が自分をいさぎよくしたのだ。
猫八 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)