附目つけめ)” の例文
大挙して突進すると鬼が誰をつかまえようかと狼狽あわてる、それが附目つけめなのである。下駄が一ツ二ツ残ると、それからが駈引かけひきで面白く興じるのだ。
旧聞日本橋:02 町の構成 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
馬鹿なことを謂ってらあ、何もこっちがえらいんじゃあねえ。島野ッてね、あのひょろ長え奴が意気地なしで、知事をこわがっていやあがるから、そこが附目つけめよ。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
終に「やかましい/\/\えゝやかましいや、なに、今聞いたら足弱あしよわを連れた、足弱を連れたなあ盗つ人の附目つけめだ、何万両はいらねえ、たつた廿両だ、早く金を出せ」
殊に此方こっちは婚礼を眼の前に控えているから、それを附目つけめに何かの面倒を持ち込まれては、吉岡家に対しても気の毒、自分達も世間に対して余計な恥をさらすようにもなる。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかし話の種はいくらでも持っているユースタス・ブライトは、もっと年取った話手ならばよろこんで捉えたかも知れないこうした附目つけめを利用することは、いさぎよしとしなかった。
と、眞中まんなかゆはへたつゝみせる、とたびつて顏色かほいろかはよわいのを、やつこ附目つけめ
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)