重成しげなり)” の例文
そうかと思うとこの大広間の、裏庭へ向いた縁の近くで、足助あすけ次郎重成しげなりと、川越播磨守かわごえはりまのかみとが下帯一つで、無粋な𦙾相撲すねずもうを取っていた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私は、ふと、木村重成しげなりと茶坊主の話を思い出した。それからまた神崎かんざき与五郎と馬子の話も思い出した。韓信かんしんまたくぐりさえ思い出した。
親友交歓 (新字新仮名) / 太宰治(著)
青白い栗の花が咲いているうまやの横にたたずんで、独り眼を横にこすっていた。父の林崎重成しげなりが乗用したという馬も老いて、数年前に死んでいた。
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれども木村重成しげなりは黙っていた、なんにもしなかった、痛いという顔さえもしなかった、これが人間の違いだ
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
如意輪堂の扉にあずさ弓の歌を書きのこした楠正行まさつらは、年わずかに二十二歳で戦死した。しのびの緒をたち、兜に名香をくんじた木村重成しげなりもまた、わずかに二十四歳で戦死した。
死刑の前 (新字新仮名) / 幸徳秋水(著)
一方、範頼の軍は勢多で稲毛三郎重成しげなりの計によって、田上たがみ供御くごの瀬を渡って進撃した。
北条遠江守ほうじょうとおとうみのかみむすめで、右大将家の御台所政子みだいどころまさこには妹婿いもうとむこになる稲毛いなげ三郎重成しげなりが、その七月に愛妻を失ったので、悲しみのあまりに髪をって出家して、その月になって亡妻ぼうさい追福ついふくのために
頼朝の最後 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
また武士側は、足助あすけ次郎重成しげなり多治見たじみ国長、土岐左近頼兼ときさこんよりかねなどの十数人。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
足利蔵人義兼くらんどよしかねかがみの小次郎長清ながきよ、北条小四郎義時よしとき、斎院次官親義じかんちかよし、土肥次郎実平、同じく弥太郎遠平とおひら三浦介義澄みうらのすけよしずみ、同平六義村よしむら、畠山庄司次郎重忠しげただ、長野三郎重清しげきよ稲毛いなげの三郎重成しげなり榛谷はんがえの四郎重朝しげとも