醜骸しゅうがい)” の例文
われわれはみじめな醜骸しゅうがいをさらして塹壕ざんごうの埋め草になるに過ぎないまでも、これによって未来の連句への第一歩が踏み出されるのであったら
連句雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
かくも「彼奴」にひきずられ、その淫猥いやらしい興奮を乗せて、命の続くかぎりはわれ醜骸しゅうがいに鞭をふるわねばならないということは、なんと浅間あさましいことなのであろう。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そも前世の宿業しゅくごうにや、林冲、罪のおぼえもなきに、この獄地に流され、かくのごとき、生ける醜骸しゅうがいとなっております。あわれ、なにとぞご加護あらしめたまえ。遠き都にあるわが妻を
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水をぶっかけられて消えたあとに、まっ黒ぐろに焼けのこった蛇の醜骸しゅうがい
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それなれば、ミイラのような醜骸しゅうがいを借りて日本へ戻って来た甲斐はあるというものだ。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ついに今日、変り果てし醜骸しゅうがいをお目にふれ候こと、まことに天の冥罰みょうばつ、そら怖ろしと酔心をひやし候といえども、乞食三日のたとえの如く、到底今となっては真人間に成り難き新九郎にござ候。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
油布張ゆふばりの屋根がべろべろにがれて醜骸しゅうがいさらしているのであった。
颱風雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
さてはなんじは、悪入道あくにゅうどう遺臣いしんであったか、主人梅雪がすでに醜骸しゅうがい裾野すそのにさらして、相果あいはてたるに、いまだいのちほしさに、呂宋兵衛るそんべえの手下にしたがっているとは臆面おくめんなき恥知らず、いで
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)