ことば)” の例文
しかしもし道得がかく多様な形に現われるとすれば、矛盾し撞着することばに出逢った場合我々はどこに究極の仏法を認むべきであるか。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
太初がことばであるかおこないであるかを(考えるのではなく)知り切っている人に取っては、この感想は無視さるべき無益なものであろう。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「夫れ太初にことばあり、万の物これに由りて創らる。」とヨハネ伝のはじめに録されたる如く、世界を支へる善・悪の法則を犯せば必ず罰がなくてはなるまい。
善くならうとする祈り (新字旧仮名) / 倉田百三(著)
彼はおのれの言葉を世界の人々の口に話させる、そしてその言葉は「ことば」となる(訳者注 太初に道(ことば)あり道は神と偕にあり道は即ち神なり云々——ヨハネ伝第一章)。
ことばを蔵した渾沌のまことの世界は
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
げに太初はじめことばあり
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「それはじめにことばあり、よろずの物これによりてつくらる」とヨハネ伝のはじめに録されたるごとく、世界を支える善、悪の法則を犯せば必ず罰がなくてはなるまい。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
太初はじめことばがあったかおこないがあったか、私はそれを知らない。しかし誰がそれを知っていよう、私はそれを知りたいとこいねがう。そして誰がそれを知りたいと希わぬだろう。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
しかし、「たとひ見解に殊劣ありとも、祖道は得吾なるのみなり」。達磨のことばの真意は汝吾を得たりというにある。従って四人の弟子のために言った言葉は、初めより同等であり一である。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
しかもその道たるや、人倫の道であって、神のことばでも悟りの道でもない。人倫の道を踏みさえすれば、すなわち仁を実現し忠恕ちゅうじょを行ないさえすれば、彼にとっては何の恐れも不安もなかった。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)