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遅日
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ちじつ
ふりがな文庫
“
遅日
(
ちじつ
)” の例文
ところが、春の雪が
斑
(
まだら
)
に消えた跡へ物を育む麗かな
遅日
(
ちじつ
)
が
遍
(
あまね
)
くなると、灰色の滑らかな根雪の膚からポタポタと真珠のような露の玉が滴り落ちる。
早春の山女魚
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
小野さんは
両肘
(
りょうひじ
)
を鉄の
手擦
(
てすり
)
に
後
(
うしろ
)
から持たして、
山羊仔
(
キッド
)
の靴を心持前へ出した。煙草を
啣
(
くわ
)
えたまま、眼鏡越に爪先の飾を
眺
(
なが
)
めている。
遅日
(
ちじつ
)
影長くして光を惜まず。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
国境の駅の両替
遅日
(
ちじつ
)
かな
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
椽
(
えん
)
に
遅日
(
ちじつ
)
多し、世をひたすらに寒がる人は、端近く
絣
(
かすり
)
の前を合せる。乱菊に
襟
(
えり
)
晴れがましきを
豊
(
ゆたか
)
なる
顎
(
あご
)
に
圧
(
お
)
しつけて、面と向う障子の
明
(
あきらか
)
なるを
眩
(
まばゆ
)
く思う女は入口に控える。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
春院
(
しゅんいん
)
いたずらに
更
(
ふ
)
けて、
花影
(
かえい
)
欄
(
おばしま
)
にたけなわなるを、
遅日
(
ちじつ
)
早く尽きんとする
風情
(
ふぜい
)
と見て、
琴
(
こと
)
を
抱
(
いだ
)
いて
恨
(
うら
)
み顔なるは、嫁ぎ
後
(
おく
)
れたる世の常の女の
習
(
ならい
)
なるに、
麈尾
(
ほっす
)
に払う折々の
空音
(
そらね
)
に
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
遅
常用漢字
中学
部首:⾡
12画
日
常用漢字
小1
部首:⽇
4画
“遅”で始まる語句
遅
遅々
遅疑
遅蒔
遅桜
遅鈍
遅刻
遅滞
遅速
遅延