追出おいだ)” の例文
だが、母の弱さにも嘆息ためいきした。母は合資ごうしの、倒れかけた紅葉館こうようかんを建て直して、もうけを新株にして、株式組織に固め、株主をよろこばせたうえで、追出おいだされた。
柳原燁子(白蓮) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
紳士 うむ、あれはけるべき木戸ではないのぢや。俺が覚えてからも、むを得ん凶事で二度だけはけんければ成らんぢやつた。が、其とても凶事を追出おいだいたばかりぢや。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
白石しらいしと云う漢学の先生が、藩で何か議論をして中津を追出おいだされて豊後の臼杵うすき藩の儒者になって居たから、この先生に便たよって行けば売れるだろうとおもって、臼杵まで態々わざわざ出掛けていっ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
とこづかれて、孝助は泣きながら、たゞ残念でございますと云っていると、お國は先夜せんやの意趣をはらすは此の時なり、今日こそ孝助が殿様にお手打になるか追出おいだされるかと思えば、心地よく、わざと
その事が知れてふんづかまってぶんぐられても平気です。もっとも擲ぐられるだけの事でそれがために寺から追出おいだされるということも何もない。寺ではそういう時分の盗人ぬすびとに対してはごく寛大です。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「君たちが葵丸で逢った男だ。私が工場から追出おいだしたあの男だ。——私も今日まで河童の噂は聞いていた。そしてそれがどういう細工なのか、考えてもみなかった。しかしいまになるとよく分る。これは津川の奴のしたことだ」
水中の怪人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「鼠でも追出おいだそうと云うのか」
流血船西へ行く (新字新仮名) / 山本周五郎(著)