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辨償
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わきまへ
稻葉殿
能聞證文の
通其方甥とある上は
當人出しとて其品なき時は
辨償ずばなるまじ
殊に彦兵衞が所持の
代呂物に非ず出入場より預りし品なれば少しも
猶豫成難し三日の中に右の品
辨償よ
若調達出來ぬとあれば申付方が有るぞと
嚴敷申渡され右彦兵衞
聞通り勘兵衞へ申渡せし上は右の品
請取と云は
注よと申渡されコリヤ勘兵衞其品は彦兵衞
出入場より
誂へなれば
早速辨償ねばならず奉公人彌七
行方知れる迄は右の
品々彦兵衞に聞合せ
殘らず
辨償て
遣せと申さるゝに勘兵衞私し儀も
所々相尋しか
共行方知れず右品々とても高金なれば
勿々調達出來難し依ては彌七行方相知るゝ迄彦兵衞
不肖仕つる樣
仰付られ下さるべしと申立るを