車室しゃしつ)” の例文
わたしは、あのおも荷物にもつ車室しゃしつなかで、そんなことには無頓着むとんちゃくに、わらったり、はなしたりしていた人間にんげんが、にくらしくてしかたがありません……。
負傷した線路と月 (新字新仮名) / 小川未明(著)
車室しゃしつうちはさのみ不潔ふけつ人間にんげんばかりではなかったが、ミハイル、アウエリヤヌイチはすぐ人々ひとびと懇意こんいになってたれにでもはなし仕掛しかけ、腰掛こしかけから腰掛こしかけまわあるいて、大声おおごえ
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
時間がおくれて、浦幌うらほろで太平洋の波の音を聞いた時は、最早車室しゃしつの電燈がついた。此処から線路は直角をなして北上し、一路断続だんぞく海の音を聞きつゝ、九時近くくたびれ切って釧路に着いた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
東京とうきょうるときには、にぎやかで、なんとなくあかるく、うつくしいひとたちもまじっていた車室しゃしつうちは、とおみやこをはなれるにしたがって人数にんずうって、きゅうくらくわびしくえたのでした。
青い星の国へ (新字新仮名) / 小川未明(著)