財宝たから)” の例文
旧字:財寶
「往きて汝のてる物をことごとく売りて、貧しき者に施せ。さらば財宝たからを天に得む」「富めるものの神の国に入るはいかにかたいかな」
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
したばかりか、せっかくかすめた汝の財宝たからを汝の手から奪い返し盗まれた人々に返し与えた、女来也じょらいやと名乗った女賊の張本、汝覚えておろうがの?
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「つつしみつつしみて申す。わが先祖おおおやここに地下ちのした黄金こがねを埋ずめ給いてより、梵天帝釈ぼんてんたいしゃく、天の神、地の神、暗の財宝たからを守り護り給うて……つつしみつつしみて申す」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
門柱太しく立てし黒板塀、官員様ならば高等官三四等がものはある御生活くらし向き。旦那様のお時計と指輪だけにても、確かに千円の価値ねうちはと、隣の財宝たから羨むものの秘かにお噂申しける。
今様夫婦気質 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
かかる世にうまれて弓矢とらんには、一八棠谿たうけい墨陽ぼくやうつるぎ一九さてはありたきもの財宝たからなり。されどよきつるぎなりとて千人のあたにはむかふべからず。金の徳はあめが下の人をも従へつべし。
「子孫のためだと? これはおかしい。そっくり財宝たからを譲った方がどんなにか子供達は喜ぶかしれぬ」
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「ナニ、財宝たからが見つかったと?」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)