きさ)” の例文
「我が命も常にあらぬか昔見しきさ小河をがはを行きて見むため」(巻三・三三二)の「常にあらぬか」がやはりそうである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
なお附近にはきさの小川、うたたねの橋、柴橋しばはし等の名所もあって、遊覧かたがた初音の鼓を見せてもらいに行く者もあるが、家重代いえじゅうだいの宝だと云うので、しかるべき紹介者しょうかいしゃから前日にたのみでもしなければ
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
眼路めぢのあなたに生ひ茂げる無花果いちじゆくの森、きさの邦。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
やはり旅人の作に、「昔見しきさの小河を今見ればいよよさやけくなりにけるかも」(巻三・三一六)というのがある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
眼路めぢのあなたに生ひ茂げる無花果いちじゆくの森、きさくに
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
「象の中山」は吉野離宮のあった宮滝の南にある山である。きさという土地の中にある山の意であろう。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)