謎々なぞなぞ)” の例文
韻文等の言語に於ける二義の区別がよく解ったら此処ここに言う「韻律なき韻律」「無韻の韻文」という語の謎々なぞなぞめいた意味が解り、そして尚
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
メドヴェージェンコ (腕を支えてやりながら)こんな謎々なぞなぞがありますよ。朝は四つ足、昼は二本足、夕方は三本足……
ト云ッて差俯向さしうつむいた、文三の懸けた謎々なぞなぞが解けても解けないふりをするのか、それともどうだか其所そこは判然しないが、ともかくもお勢はすこぶる無頓着な容子ようす
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その他無邪気でおもしろい山の中のお伽噺とぎばなしから、畠の中に赤い舌をぶらさげているものは何なぞの謎々なぞなぞを語り聞かせることを楽しみにした子供の友だちだ。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
これは東叡山の配下で、寒い朝でも赤裸で、とうとうと言って人のかどに立って銭貰ぜにもらいをするのだが、無芸と無頼とを以て聞えている。どうかすると謎々なぞなぞのようなものを持って来るのもある。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「杢の謎々なぞなぞは結構だよ、それでほしをつけた家というのがどうしたのさ」
帆村は、謎々なぞなぞ新題しんだいにぶつかったような顔付をして、一寸ちょっと首を曲げた。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
こまぬきつつうかうか歩き、お上人様のああおっしゃったはどちらか一方おとなしく譲れとさとしの謎々なぞなぞとは、何ほど愚鈍おろかおれにも知れたが、ああ譲りたくないものじゃ、せっかく丹誠に丹誠凝らして
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
南町で晩飯の御馳走ごちそうになって、久米くめ謎々なぞなぞ論をやっていたら、たちまち九時になった。帰りに矢来やらいから江戸川の終点へ出ると、き地にアセチリン瓦斯ガスをともして、催眠術の本を売っている男がある。
田端日記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「うむ、まるで謎々なぞなぞだね」