そしり)” の例文
これをなまのまま人に理解を押し付けるといわゆる「野狐禅やこぜん」とか「生悟なまさとり」とかいうものになりまして、却って仏教が世間からそしりを招く基になるのであります。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
少しく奇人をてらい、英雄を真似たとすれば、無礼のそしりをまぬかれぬが、自分の心得の最善を尽している以上は、行儀作法ぎょうぎさほうに多少の欠点ありとするも、人はこれをゆるすものである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
次に昨日きのうまでも六十餘州に関白と仰がれ給うた御身が、今更おろ/\と籠城に及び給わん事、日本中の諸侍が言う甲斐かいなく思うのが第三、彼れ此れ世間のそしりが多いと存じますから
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
但し……この方法はいわば超常識的、もしくは超学理的の事実を根拠としたものであるから、あるいは牽強附会のそしりを免れ得ないであろう事を本官は最初から覚悟しているものである。
霊感! (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「何がああだ、人のちょうをそねむものと、貴様こそ、諂佞てんねいそしりをうけるぞ」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
毅堂が晩年往々にして人より倨傲きょごうそしりを受けたのは全く故なき事ではない。毅堂は三礼の攻究にもっとも力を尽した学者で、その平生においても辞容礼儀には極めて厳格でごうもこれをゆるがせにしなかった。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
諸君、余を指して誣告ぶこくそしりめ給へ。何となれば、真理に誓つて彼は禿頭である。尚疑はんとせば諸君よ、巴里府モンマルトル Bis 三番地、Perruquier ショオブ氏に訊き給へ。
風博士 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
今日でこそ有閑ゆうかん婦人の贅沢はさまで珍しくないようなものの昔は男子でもそうは行かぬ裕福ゆうふくな家でも堅儀かたぎな旧家ほど衣食住のおごりをつつし僭上せんしょうそしりを受けないようにし成り上り者にするのを
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
諸君、余を指して誣告ぶこくそしりめ給え、何となれば、真理に誓って彼は禿頭である。尚疑わんとせば諸君よ、巴里パリ府モンマルトル三番地、Bis, Perruquier ショオブ氏に訊き給え。
風博士 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)