旧字:觀世音菩薩
僕はそのゑんじゆの若木を見、そのどこか図案的な枝葉えだは如何いかにも観世音菩薩くわんぜおんぼさつの出現などにふさはしいと思つたものである。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
南無大慈大悲なむだいじだいひ観世音菩薩くわんぜおんぼさつ……いやアおほきなもんですな、人が盲目めくらだと思つてだますんです、浅草あさくさ観音くわんおんさまは一すんだつて、虚言うそばツかり、おほきなもんですな。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
親父おやぢだのお袋だのの稽古してゐるのを聞き覚えたのである。その文句もんくなんでも観世音菩薩くわんぜおんぼさつの「庭にとしゑんじゆこずゑ」に現れるとかなんとか云ふのだつた。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
成程なるほど先刻さつき薬師やくしさまで見ましたが、薬師やくしさまより観音くわんおんさまのはう工面くめんいと見えてお賽銭箱さいせんばこが大きい……南無大慈大悲なむだいじだいひ観世音菩薩くわんぜおんぼさつ今日こんにちはからず両眼りやうがんあきらかに相成あひなりましてございます
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
すると婆さんの真名娘まなむすめひそかにこの稚児に想ひを寄せ、稚児の身代りになつて死んでしまふ、それから稚児は観世音菩薩くわんぜおんぼさつと現れ、婆さんに因果応報いんぐわおうはうを教へる
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)