襟髮えりがみ)” の例文
新字:襟髪
襟髮えりがみを取つて八五郎が引立てると、素直に首をれて、トボトボと歩きますが、もとの庄司の家へ歸るのを、ひどく嫌がる樣子です。
にらめば後家ごけお深はこらへず悴惣内を押伏せ打擲ちやうちやくなせば源藏は堪り兼逃出す所を九助が親より召使ひの三五郎飛で出突然いきなり襟髮えりがみつかんで捻倒ねぢたふしコリヤヽイ源藏汝はよくも/\己が旦那を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
煙に卷かれてウロウロして居る妾のお關の襟髮えりがみを取つて引寄せ、穴から押し出してやつて、お尻をポンと蹴ると、續いて自分もその後から
つめて申しければ昌次郎も一ごんこたへもなく赤面せきめん閉口へいこうしたりしは心地こゝちよくこそ見えにけれ父上臺憑司こらかねて立ち上り昌次郎の襟髮えりがみつかたゝみすり付け打据うちすゆるにお早は娘お梅がたぶさつかんで引倒し怒の聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其處にマゴマゴして、追ひ詰められた鼠のやうに、逃げ路を搜して居た彌吉は、ガラツ八の手に無手むず襟髮えりがみを掴まれたことは言ふ迄もありません。
聞捨きゝすてならぬ眼に物見せてくれんずと千太郎が襟髮えりがみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
見物の後ろから、コソコソと這ひ出さうとしたをひの喜八郎は、とびついた八五郎に、むずとその襟髮えりがみを掴まれたのです。
ガラツ八は飛んで行つたと思ふと、第一番に先づ大番頭の和七を、襟髮えりがみを掴まないばかりに引つ立てて來ました。
「御用ツ——と喰はせようかと思つたが、考へて見るとあまり好い器量ぢやねえ、二言三言言譯を言つて——根岸の方へ降りようとすると、いきなり後ろから襟髮えりがみを掴んで、藪の中へ——」
わめき散らしながら清八は、八五郎に襟髮えりがみを掴んで引つ立てられて來ました。
平次の手は伸びて、早くも逃げ腰の五郎助の襟髮えりがみを押へました。
ヘタヘタと崩折れる粂吉の襟髮えりがみを、八五郎が無手むんずと押へました。
重三はキリキリと繩を絞つて、お照の襟髮えりがみを取ります。