薄彩色うすさいしき)” の例文
四五間さきに、上品な絵の具の薄彩色うすさいしきで、たたずんでいた、今の、その美人の姿だがね、……淀川の流れに引かれた、私の目のせいなんだろう。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その時ふっとまた、つまの水に映るのが、薄彩色うすさいしきして目に見えたが、それならば、夢になろう、夢ならば、ここで覚める!
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……手をかれたり、三人つれたり、箱屋と並んで通るのだの、薄彩色うすさいしきした陽炎かげろうおぼろあらわれた風情の連中が、行違ったり、出会ったり、大勢の会釈するのが
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なんでございます、まあ、」と立停たちどまつてたのが、ふたツばかり薄彩色うすさいしき裾捌すそさばきで、にしたかごはなかげが、そでからしろはださつ透通すきとほるかとえて、小戻こもどりして、トなゝめに向合むきあふ。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すらりと飯櫃形いびつなりの猿ヶ馬場ばんばに、吹溜ふきたまった落葉を敷いて、閑々と静まりかえった、うもれ井戸には桔梗ききょうが咲き、すすき女郎花おみなえしが交ったは、薄彩色うすさいしきしとねのようで、上座かみくらに猿丸太夫、眷属けんぞくずらりと居流れ
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)