蒼々あを/\)” の例文
蒼々あを/\した山松や、白百合の花の咲乱れた丘や、畑地ばかりであつた。そして思つたより早く、いつか町のさかひへ出て来てゐるのに気がついた。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
亭主ていしゆこたへて、如何いかにも、へんうはさするには、はるあけぼののやうに、蒼々あを/\かすんだ、なめらかな盤石ばんじやくで、藤色ふぢいろがゝつたむらさきすぢが、寸分すんぶんたがはず、双六すごろくつてる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
またその蒼々あを/\としたおほきなうみ無事ぶじにわたりつて、をかからふりかへつてそのうみ沁々しみ/″\ながめる、あの氣持きもちつたら……あのときばかりは何時いつにかゐなくなつてゐる友達ともだち親族みうちもわすれて
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)