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萬分
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まんぶん
翌年一月、
親類見舞に、
夫人が
上京する。ついでに、
茅屋に
立寄るといふ
音信をうけた。ところで、いま
更狼狽したのは、その
時の
厚意の
萬分の
一に
報ゆるのに
手段がなかつたためである。
難有く、せめて
報恩の
萬分の
一には、
此軍艦の
水兵等と
同じ
樣に
働きたいと、
頻りに
心を
焦立てたが、
海軍の
軍律は
嚴として
動かす
可からず、
本艦在役の
軍人ならねば
檣樓に
昇る
事も
叶はず