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若奥様
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わかおくさま
丁ど
今頃だで——それ/\、それよ
矢張り
此の
道だ。……
私と
忠蔵がお
供でやしたが、
若奥様がね、
瑞巌寺の
欄間に
舞つてる、
迦陵頻伽と
云ふ
声でや
忘れもしねえだ、
若奥様は、
綺麗な
縫の
肩掛を
手に
持つてよ。
紫がゝつた
黒い
処へ、一
面に、はい、
桜の
花びらのちら/\かゝつた、コートをめしてな。
と
同時に一
昨年の
冬、
衣絵さん、
婿君のために
若奥様であつた、
美しい
夫人がはかなくなつて
居る……
新仏は、
夫人の三
年目に、おなじ
肺結核で
死去したのであるが……
「あなた
様にも、
御覧なせえと……
若奥様が。」