ふね)” の例文
ふねの中は藻抜けの殻だ——今まで敵だと思った人影は盗み出した品物を積み上げて、それに上衣うわぎを着せ帽子をかぶせた案山子かかしであった。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
ふねがこの洞穴の広間へ、へさきを突込んだとき、果して、ぱっと点灯した。そして、そこに、怪奇をきわめた広間の有様が、人の眼を奪う。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ヴィデがすぐ、こんなことを、一同の耳にささやきはじめた。乗組員は二十名、ふねは、一九〇六年の刻印どおり旧型の沿岸艇だ。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
漁村なるわが町内の晩のおかずに——荒磯に横づけで、ぐわッぐわッと、自棄やけに煙を吐くふねから、手鈎てかぎ崖肋腹がけあばら引摺上ひきずりあげた中から、そのまま跣足はだしで、磯の巌道いわみちを踏んで来たのであった。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まあ貴方は、ふねを三しょう快走艇ヨットにお仕立てになって……、しかもそれには、『鷹の城ハビヒツブルク』という古風な名前をおつけになったではございませんか。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ルパンが最前ふねの出るのを見送って内へ入る時驚かされた叫声さけびごえ『助けてくれ……助けてくれ……殺されそうだ……』
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
「これはつまり、一種の潜水艇だが、深くは沈まない。海面から、このふねの背中がようやぼっする位、つまり数字でいえば、波面はめんから二三十センチ下にくぐり、それ以上は潜らない一人乗りの潜波艇だ」
「おい、オルガ姫。三角暗礁へ、ふねをつけろ」
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
洞穴どうけつに、ふねをつけろ」
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)