自身番じしんばん)” の例文
自身番じしんばん証札あかしふだを見せろとか、四刻客よつきゃくはお断りですとか、今日、大阪入りのしょッぱなから、木戸を突かれ通しじゃございませんか」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見留夫捕縛めしとれと云ふより早く手先兩人づか/\とはしり上意と聲かけ文右衞門并びに久兵衞ともたちまち高手小手にいましめ兩人ながら自身番じしんばんへ引行けるに是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
自身番じしんばんから人が来て、ひとまず死骸を引き取っていったあと。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
自身番じしんばんへ馳けこんで、ちょうど外の涼み台で、祭りの御神酒おみきみかわしていた番太ばんたや、同心どうしんたちへ早口にうったえた。
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
認め右道具屋の請取をへ町奉行所へ差出たり之に依て翌日同心原田はらだ大右衞門下谷の自身番じしんばんへ出張し家主いへぬしひろ次郎を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「てめえどうしても自身番じしんばんへ行かねえと言うのか」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「困ったなあ、そういう親方からして、まごまごしているんだもの。自身番じしんばんへ持って行くんですか」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つれさきへ東町の自身番へいつて淺草三間町の虎松をよんおけおれは坂本へ鳥渡ちよつとまはつてゆくからと申付て立出れば手先てさき幸藏かうざうは脇差を風呂敷ふろしきつゝみ治助を同道して東町の自身番じしんばんへ來り虎松とらまつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
耀蔵は、附近の自身番じしんばんへ、縄付なわつきを抛り込むように預けて、すぐに前の四つ辻まで駈け戻った。そして、そこらの大通りを中心に縦横に駈け廻って、僚友波越八弥の吉左右きっそうをさがし求めた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)