自尊心じそんしん)” の例文
そのちっぽけな男がおかしくおもわれたし、行商人ぎょうしょうにんといういやしい身分に自尊心じそんしんきずつけられるのだった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
しかも平生へいぜい自分じぶんよりはるかに無力むりよく無能むのう赤子あかごであると、さら自分じぶんみとめざるをなくなつた。かれつてはあたらしい發見はつけんであつた。同時どうじ自尊心じそんしん根絶こんぜつするほど發見はつけんであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
カピが同じやり方でわたしを侮辱ぶじょくしたならば、わたしの自尊心じそんしんはずいぶんきずつけられたにちがいなかった。けれどもジョリクールがどんなことをしようと、わたしはけっしておどろかなかった。
もとより、だれも、ぼく気持きもちのわかるはずはありませんでした。また、ぼくは、自尊心じそんしんから、自分じぶん弱虫よわむしなばかりに、あねをはずかしめて、どくおもったことを、だれにもかたになれませんでした。
だれにも話さなかったこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
自尊心じそんしんがきずつけられるからだ。
久助君の話 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
しかし、祖父そふは何ともいわないで、彼の方へやって来ていてくれた。クリストフには祖父そふ満足まんぞくしているのがよくわかった。彼は小さな自尊心じそんしんから、そういう好意こういがうれしかった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)