臨済りんざい)” の例文
臨済りんざいは三たび黄檗おうばくに道をたずねて、三たび打たれた。江西こうせいの馬祖は坐禅すること二十年。百丈の大智は一日さざれば一日くらわず。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ほんとうの最後の、何もしなくてもよい「無事むじ是れ貴人」という言葉があります。これはシナの臨済りんざいの言葉であります。
生活と一枚の宗教 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
いわゆる臨済りんざいの三乗十二分教もその真を知らざれば故紙ほごに等しというような考えはチベット人には全く無い。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
但馬たじま出石いずし村の生れで十歳で沙弥しゃみになり、十四歳で臨済りんざいの勝福寺に入って、希先きせん和尚に帰戒きかいをさずけられ、山城の大徳寺からきた碩学せきがくについて、京都や奈良に遊び
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それ故本分においては無垢なのである。穢濁えだくは吾々が造作した罪の跡に過ぎない。臨済りんざいは「但造作すること莫れ」と教えた。美も醜も共に醜に染まる、造作に止まる限りは。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
引き掛った男は夜光のたまを迷宮に尋ねて、紫に輝やく糸の十字万字に、魂をさかしまにして、のちの世までの心を乱す。女はただ心地よげに見やる。耶蘇教ヤソきょうの牧師は救われよという。臨済りんざい黄檗おうばくは悟れと云う。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
臨済りんざい普化禅師ふけぜんじとの挨拶の如きは、父が好んで人に語りもし、竜之助にも聞かせました。竜之助には、そのことがわかったような、わからぬような心持がしていました。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
臨済りんざいの一禅堂で、婆娑羅ばさら大名の道誉が晩年住んだ所だが、元より昔の宏大さはない。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
またいつも好んで頭巾ずきんをかぶり、新春の装い綺羅きらやかな群臣のなかにあって、にこにこと無口に衆を見まわしている。——どう見ても臨済りんざいの若僧がひとりそこにざっているようであった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もっとも私に、臨済りんざいと、普化ふけとの、消息を教えて下すって、臨済録の『勘弁』というところにある『ただ空中にれいの響、隠々いんいんとして去るを聞く』あれが鈴慕の極意ごくいだよ、と教えて下すった方はありました。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
臨済りんざい栄西禅師えいさいぜんじも。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)