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腭
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あぎと
ふりがな文庫
“
腭
(
あぎと
)” の例文
ひとり叫びていひけるは、ボッカよ何をかなせる、
腭
(
あぎと
)
を鳴らすもなほ足らずとて吠ゆるか、汝に
觸
(
さは
)
るは何の鬼ぞや 一〇六—一〇八
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
此時ドルフの目に水を
穿
(
うが
)
つて来る松明の光が映つた。ドルフは最後の努力をして、自分がやつと
貪婪
(
どんらん
)
な鮫の
腭
(
あぎと
)
から奪ひ返した獲ものを、跡の方に引き摩つて浮いた。
聖ニコラウスの夜
(新字旧仮名)
/
カミーユ・ルモンニエー
(著)
私は
這々
(
ほうほう
)
の
態
(
てい
)
で妻の部屋から出て来たが、まったく虎の
腭
(
あぎと
)
を
遁
(
のが
)
れたというか、腕白小僧が母親の許から逃げ出して来たというか、
吻
(
ほ
)
っとした気持の中で、さて明日の朝から
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
泥から生れた
鯉
(
こい
)
と
鮒
(
ふな
)
が、
闇
(
やみ
)
を忍んで
緩
(
ゆる
)
やかに
腭
(
あぎと
)
を働かしている。イルミネーションは高い影を
逆
(
さかし
)
まにして、二丁
余
(
あまり
)
の岸を、尺も残さず
真赤
(
まっか
)
になってこの静かなる水の上に倒れ込む。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
使徒と聖母とは
不便
(
ふびん
)
なる人類のために憐を乞はんとて手をさし伸べたり。死人は
墓碣
(
ぼけつ
)
を搖り上げて
起
(
た
)
たんとす。惠に逢へる精靈は拜みつゝ高く
翔
(
かけ
)
り、地獄はその
腭
(
あぎと
)
を開いて犧牲を呑めり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
可笑
(
をか
)
しいやうでございますが、わたくし共はもう渦巻の
腭
(
あぎと
)
に這入り掛かつてゐますので、今まで渦巻の方へ向いて、船の走つてゐたときよりは、腹が据わつて、落付いて来たのでございます。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
一時兩國の水茶屋で、
鐵火者
(
てつくわもの
)
で鳴らしたお篠が、妹のお秋を
虎狼
(
こらう
)
の
腭
(
あぎと
)
から救ひ出したさに、ガラツ八の十手のチラチラまで借りようと言ふのは、全く並々ならぬ危險を感じたからのことでせう。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鮫の
開
(
あ
)
いた
腭
(
あぎと
)
を覗いてあなたはお
笑
(
わらい
)
なさる。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
この時彼手を
同囚
(
なかま
)
のひとりの
腭
(
あぎと
)
にかけて口をあけしめ、叫びて、これなり、物いはず 九四—九六
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
心の
急
(
せ
)
くままにまたぞろ車を命じて、探偵事務所のあるキャセレス・ビルへと赴いて、いよいよ虎の
腭
(
あぎと
)
を踏むような気持で、その階段を上ったのであったが、最早仕事はすっかり完了して
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
一行は僧堂の前に留りぬ。内暗き洞穴は我等に向ひて其
腭
(
あぎと
)
を開けり。穴の
裏
(
うち
)
には十字架三基ありて、耶蘇と二賊との像これに懸り、巖上には彩衣を着て大いなる白き翼を負ひたる數人の天使
跪
(
ひざまづ
)
けり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
辰蔵は虎の
腭
(
あぎと
)
を逃れた心持で、飛んで帰りました。
銭形平次捕物控:017 赤い紐
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
御身の陰翳の物凄い
腭
(
あぎと
)
を
開
(
ひら
)
いてくれられい。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
腭
(
あぎと
)
と舌とにあらぬ目は
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
腭
部首:⾁
13画
“腭”を含む語句
下腭
左腭下
腭頭
腭鬚