腋毛わきげ)” の例文
と思うと——たたみまいほどはゆうにあるりょうつばさが、ウワーッと上へひろがって、白い腋毛わきげが見えたから、びっくりしたお小姓こしょうとんぼ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女は片方の手をあげて額のあたりを撫でたが、その白いゆたかな腕の付根に、ふさふさとした腋毛わきげが見えたので、私は慌てて眼をそらした。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そう言いながら、自分の唇に、れた相手の腋毛わきげを、しごきたいような欲情に駆られ、横蔵はぶるると身を震わした。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
たとえば月を断ち切る雲が、女の目を切る剃刀かみそりを呼び出したり、男の手のひらの傷口から出て来るありの群れが、女の腋毛わきげにオーバーラップしたりする。
映画芸術 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そはとにかくに糞の歌も、厠の歌も、犢鼻褌ふんどしの歌も、腋毛わきげの歌も、かさの歌も歌として書に載せられをる事実は争ふべきにあらず。歌必ずしもことごとく上品ならんや。
人々に答ふ (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
引手繰ひったくるや否や、ふとっているから、はだかった胸へわきの下まで突込つっこんだ、もじゃもじゃした胸毛も、腋毛わきげも、うつくしい、なさけない、浅間しい、可哀相かわいそうおんなみくたにして、捻込ねじこんだように見えて
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
切石にうづくむ猫のねちねちと腋毛わきげつくろふをみなへしの花
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
彼女は片方の手をあげて額のあたりをでたが、その白いゆたかな腕の付根に、ふさふさとした腋毛わきげが見えたので、私はあわてて眼をそらした。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
切石にうづくむ猫のねちねちと腋毛わきげつくろふをみなへしの花
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)