)” の例文
これはミルトと申しでござる。医経いきょうに申す、五臓六腑、肺の六葉、両耳肝じかんの左三葉、右四葉などの説とは、似ても似ぬことでござる。
蘭学事始 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
こんなわけで、狸は支那の代表的料理の主役を勤め、第一その肉は人の肺気を強くし、胃を補ひ、皮はかわごろもを製し、骨は邪気を除くと本草に見えてゐる。
たぬき汁 (新字旧仮名) / 佐藤垢石(著)
かんしんはいじんの五臓は、五志、五気、五声にあらわれて、色にもで、ことばにも隠せぬものでおざる。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
醫者の心得がないから、さう言つても解るまいが、脇差はざうの下から入つて、心の臟を破つて居るんだ。心の臟を突かなきや、あんな具合に物も言はずに死ぬものぢやねえ
「これは大機里爾タイキリイル、つまり膵臓すいぞうに初発した癌腫だ」と去定が云った、「膵臓は胃の下、と十二指腸とのあいだにあって、動かない臓器だから、癌が発生しても痛みを感じない、 ...
馬をう者厩中にこれをえばく馬病を避く、故に胡俗こぞく猴を馬留ばりゅうと称す、かたち人に似、眼愁胡のごとくにして、頬陥り、けん、すなわち、食をかくす処あり、腹になく、あるくを以て食を消す
喫て先ずだるさの鉾先だけ収まるや徐々そろ/\と話に掛り
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
それと、五十五の坂にかかった人間の生理的な焦躁とか、我慢のおとろえとか、かんしんじんはいの五臓の衰気も多分に手伝うていることは疑いもない。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お玉の傷は下から突き上げて、の臟から心の臟を破つたと孝吉が言つた筈だ。窓にもたれて居る娘を、そんな具合に突き上げるには、疊の上に仰向けに轉がるか、窓の外から突く外はない。
たとえば、肝を病めば、涙多く、心をやぶれば、恟々きょうきょうとしてものに恐れ、をわずらえば、事ごとに怒りを生じやすく、肺のきょするときは憂悶ゆうもんを抱いて、これをす力を失う。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)