聞書ききがき)” の例文
玄同放言げんどうほうげん』三巻下には全文を引用しているが、記事にはあやふやな部分がちっともなく、少なくとも至って精確なる噂の聞書ききがきである。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その犯罪手段や探偵方針のハイカラかハイカラでないかにかかっているものでない事は、一八〇〇年時代の探偵記録や裁判聞書ききがき
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
景蔵に言わせると、当時、鱗形屋うろこがたや定飛脚じょうびきゃくから出たものとして諸方に伝わった聞書ききがきなるものは必ずしも当日の真相を伝えてはない。その聞書には
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一同の人名と、聞書ききがきを取って、先刻、寺社奉行へ届けに出て行った長恩和尚は、やがて帰ってくると、どこかに、安心したような色を顔にたたえ
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
早手廻はやてまわしに、若主人の笹木光吉こうきちというのを同道どうどうして参りました。ここに大体の聞書ききがきを作って置きました」
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
蓮如上人れんにょしょうにん御一代ごいちだい聞書ききがきにいう「御膳おぜんを御覧じても人の食わぬ飯を食うよとおぼしめされそうろうと仰せられ候」と。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
アフリカのバンツ人の俗譚に兎動物中の最も奸智あるものたれば実際を知らざる者これを聞書ききがきする時スングラ(兎)を狐と誤訳した(一九〇六年ワーナー『英領中央亜非利加土人篇ゼ・ネチヴス・オヴ・ブリチシュ・セントラル・アフリカ』二三二頁)
小倉こくら方面に戦争のあったことまではよくわかってますがね、あれから以後は確かな聞書ききがきも手に入りません。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
東武談叢とうぶだんそう』その他の聞書ききがきに見えているのは、慶長十四年の四月四日、駿府城内の御殿の庭に、弊衣へいいを着し乱髪にして青蛙あおがえるを食う男、何方いずかたよりともなく現れ来る。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ふたつながら胆が薬用さるるからマルコの大蛇と鱷と同物だとは、不埒ふらちな論法なる上何種の鱷にもマルコが記したごとき変な肢がない。予おもうにマルコはこの事を人伝ひとづて聞書ききがきした故多少の間違いは免れぬ。
青山君——その後の当地の様子は鱗形屋うろこがたや聞書ききがきその他の飛脚便によっても御承知のことと思う。大和国やまとのくにへ行幸を仰せ出されたのは去る八月十三日のことであった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その聞書ききがきを録しているかもしれない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それは彼が父に読みきかせたいと思って持って来たもので、京都方面の飛脚便だよりの中でも、わりかた信用の置ける聞書ききがきだった。当時ほど流言のおびただしくこの街道に伝わって来る時もなかった。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
古見こみの近世の聞書ききがき
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)