罷成まかりな)” の例文
幸村申すことに「この度の御和睦も一旦のことなり。ついには弓箭きゅうせん罷成まかりなるべくと存ずれば、幸村父子は一両年の内には討死とこそ思い定めたれ」
真田幸村 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
白きむちをもって示して曰く、変更の議罷成まかりならぬ、御身等おんみら、我が処女むすめを何と思う、海老茶えびちゃではないのだと。
一景話題 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「はたまた拙者妻こと、京より離別つかまつり縁者方へ返し申候。伜、娘儀いかように罷成まかりなり候ともそれまでの事に候」といい、さらに平常ひごろ方外の友として、その啓沃けいよくを受けた良雪に対しては
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
しろむちしめしていはく、変更へんがへ罷成まかりならぬ、御身等おんみら処女むすめなにおもふ、海老茶えびちやではないのだと。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さて、その娘が縁あって、われら宿の妻に罷成まかりなる、老人三十二歳の時。——あれは一昨年おととし果てました。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
日本一の不所存もの、恩地源三郎が申渡す、向後一切いっせつ、謡を口にすること罷成まかりならん。立処たちどころに勘当だ。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
神職 罷成まかりならん! 当社とうやしろおきてじゃ。が、さよういたした上は、追放おっぱなして許して遣る。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)