繼子まゝこ)” の例文
新字:継子
十九の時あやめを生んで、今年は三十七、繼子まゝこのお百合よりは、遙かに美しく、若々しくさへ見える内儀振りです。
あはれなるは繼子まゝこ身分みぶんにして、腑甲斐ふがひないものは養子やうしれと、今更いまさらのやうになかのあぢきなきをおもひぬ。
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かの黒き髮ある額はアッツォリーノなり、またかの黄金こがねの髮あるはげに上の世にその繼子まゝこに殺されし 一〇九—
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
宣給のたまへど、接吻をばわれ博し得たり。かれ。そはもとよりなり。されどわれを始終繼子まゝこたりしものとな思ひそ。われ。繼子たりしや否やは知らず。唯だ繼子らしかりしは事實なり。渠。
同志と稱する者がかう云ふ間違つた見方をしただけであるならまだよかつたが、政治家の多數が亦觀察を誤つた。そして謬見びうけんを抱いて社會の繼子まゝことなつた人々に對して、謬見を抱いた政治が施された。
計画 (旧字旧仮名) / 平出修(著)
知らぬ繼子まゝこへさせた。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
庄司伊左衞門の新妻のおもよは惡い人間ではなかつたが、まだ夢の多い若い盛りで、さすがに下女の産み棄てた繼子まゝこのお藤を育てる氣はなかつたのです。
「だから、お内儀のお篠が、自分とあまり年の違はない繼子まゝこの幾太郎を殺すつもりで、間違つて梅吉を殺したとしたら、わざ/\櫛なんか置いて來る筈はあるまい」
お江野は下賤げせんに育つた女ですが、心掛は兎も角不思議にかしこたちで、二千五百石取の奧樣に直しても少しも可笑しくはない女です。繼子まゝこの吉彌にもよく、内外の噂はそんなに惡くありません。