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したたか
一月十七日なる感はいと
劇く動きて、宮は
降頻る雪に
或言を聴くが如く
佇めり。折から唯継は
還来りぬ。静に
啓けたる
闥の響は
絶に物思へる宮の耳には
入らざりき。
奉公大事ゆゑに
怨を結びて、憂き目に
遭ひし貫一は、夫の
禍を転じて身の
仇とせし
可憫さを、日頃の手柄に増して
浸々難有く、かれを
念ひ、これを思ひて、
絶に心弱くのみ成行くほどに
満枝は彼の
面を
絶に
怨視て
瞬も
為ず、その時人声して
闥は
徐に
啓きぬ。