ちぎり)” の例文
秋成の「雨月物語」は、ぼくの少年時の愛読書の一つだが、あの中でも「蛇性じゃせいいん」「菊花のちぎり」「白峯」の三篇がわけてすぐれている。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてこの二人が、いつごろ何処どこで夫婦のちぎりを云ひ交したか……それも水の低きにつくごとく極めて自然な落着として今さらせんぎの必要もありませんでせう。
秋の夜がたり (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
永くりてやうなきを思ひて、賢弟が菊花のちぎりある事をかたりて去らんとすれば、経久うらめる色ありて、丹治にれいし、吾を九九大城おほぎの外にはなたずして、つひにけふにいたらしむ。
かの六〇八雲たつ国は六一ぎたはてにありて、ここには百里をへだつると聞けば、けふとも定めがたきに、其のしを見ても六二物すともおそからじ。左門云ふ。赤穴はまことある武士もののべなれば必ずちぎりあやまらじ。
菊花きくくわちぎり