竹枝ちくし)” の例文
千浪は竹枝ちくしと仮に名づけて、行く行く玄蕃の踪跡そうせきを尋ねながら、中仙道を大廻りして江戸に入る心算つもりで、木曾路から信州路へ入り、ようやく碓氷峠うすいとうげにまで辿たどりついて来た。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新歳竹枝 新歳しんさい 竹枝ちくし
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
鈴慕れいぼきょくつまを恋う女鹿めじかの想いを憐々れんれん竹枝ちくしのほそい孔から聞くような鈴慕の哀譜であった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その手には左右二つのカスタネットをかくし持ち、戦う鳥となり、柳の姿態しなとなり、歩々ほほ戛々かつかつ鈴々れいれい抑揚よくよう下座げざで吹きならす紫竹の笛にあわせ“開封かいほう竹枝ちくし”のあかぬけた舞踊のすいを誇りに誇る。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いや、一片の風流子の心事と、法月弦之丞の心に波うつものとは、だいなるへだてがある筈だ。したがって、同じ竹枝ちくしすさびにしても、その訴えるところは、ちまたや僧院の普化ふけたちとは必然なちがいをもつ。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しの竹枝ちくし男女ふたり虚無僧こむそう
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)