突棒つくぼう)” の例文
突棒つくぼう刺叉さすまたというようなものを押立てた同勢が、その中へ高手小手にいましめた一人の者を取押えながら、引き立てて来たのであります。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その式台を上った所に、突棒つくぼうや、袖搦そでがらみ刺股さつまたや、また古ぼけた馬上ばじょう提灯などが、並んでけてあった昔なら、私でもまだ覚えている。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
突棒つくぼう刺股さすまたもじりなどを持って追掛おっかけて来て、折り重り、亥太郎を俯伏うつぶせに倒して縄を掛け、すぐに見附へ連れて来て調べると、亥太郎の云うには
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
調べ所の壁に掛かる突棒つくぼう、さすまたなぞのいかめしく目につくところで、階段の下に手をついて、かねて用意して来た手形を役人たちの前にささげるだけで済んだ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
の大喝を発しながら、突棒つくぼうを振り上げて、待ち構えているのだ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
此方こなたは数十人の役人、突棒つくぼう刺叉さすまた鉄棒てつぼうなどを携えて、取押えようと必死になって働いて居りますが、何しろ死者狂しにものぐるいの罪人ども、荒れに荒れてたちまち役人も三四人打倒うちたおされました。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
組子は突棒つくぼう刺叉さすまた、槍、長刀なぎなたを取って、弁慶に打ってかかるから、弁慶も金剛杖では間に合わず、ついに太刀たちさやはずして、縦横無尽にそれを斬り散らす騒ぎになったから、見物は喜びますけれど
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)