稚児髷ちごまげ)” の例文
眼を開けて見ると、稚児髷ちごまげうた女の子が燈籠を持って枕頭まくらもとに立っていた。しかし、彭は相手になるのが面倒であったから、ぐるりと寝返りして壁の方を向いた。
荷花公主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
いずれも前もって渡された洋行心得書を懐中ふところにし、成業帰朝の上は婦女の模範ともなれとの声に励まされ、稚児髷ちごまげに紋付振袖ふりそでの風俗で踏み出したとのことであるが
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
丘の周囲まわりを、振袖の一行——稚児髷ちごまげに、友染ゆうぜんの袖、たすきして、鉄扇まがいの塗骨の扇子おうぎを提げて義経袴よしつねばかま穿いた十四五の娘と、またおなじ年紀としごろ……一つ二つは下か、若衆髷わかしゅまげに、笹色の口紅つけて
おさないものは稚児髷ちごまげ小性こしょうぶりにしてしたてた。
大橋須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
そして三こうがすぎて観燈の人も稀にしか通らないようになった時、稚児髷ちごまげのような髪にした女のに、かしらに二つの牡丹の花のかざりをした燈籠とうろうを持たして怪しい女が出て来たが
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それは二十歳はたちにはだ足りない美しい女と、十四五の稚児髷ちごまげに結うたともの少女とであった。女は那智なちへ往っての帰りだと云った。豊雄は女の美に打たれて借りて来た傘を貸してやった。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
婢女じょちゅうであろう稚児髷ちごまげのような髪をした少女に燈籠を持たせて、そのあとから壮い女が歩いて来たが、少女の持っている燈籠のかしらには真紅の色のあざやかな二つの牡丹の花のかざりがしてあった。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)