)” の例文
もし洗えば天日てんぴで干すときにくいから水を切って塗物ぬりものの箱へ入れて乾かすのだ。それを蒸す時は水で少しねてそれをサラサラするようにほごして蒸す。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
穀物をく臼は手で廻すのだが、余程の腕力を必要とする。一端を臼石の中心の真上のたるきに結びつけた棒が上から来ていて、その下端は臼の端に着いている。
内のねえさんか、あらず、やといの婆さんか、あらず、お茶をいてる抱妓かかえか、あらず、猫か、あらず。あらず。あらず。湯島天神中坂下なかざかしたの松のすしせがれ源ちゃんである。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
然し、昇のはうす上石うはいしの樣だと思ふ。そして、また、あの大きな口が一文字に延びてゐると。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
あとで聞くとひえ団子だという、然もその稗は田のほうへいったとき百姓が抜き捨てたものを拾い集めて来て、自分で干し自分でき、粉にいて作ったということだった。
日本婦道記:墨丸 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
愛となさけの使者のやうに不幸な人達を訪れて𢌞る清らかな、白い、き立ての麥粉を、その名が記念してゐる失はれた少女に譬へて見ることは、美しくも氣高けだかく思はれるに違ひない。
水車のある教会 (旧字旧仮名) / オー・ヘンリー(著)
老人をいて若者にしたというお伽話の碾臼ひきうすとは確かに違った碾臼で恐しくも碾きに碾かれて来た人間の標本が、あらゆる隅々に震えていた。あらゆる家々の戸口を出入していた。
白洲しらすに臨める縁先の障子は締切られて、障子の内に所司代の席を設け、座右には茶臼ちゃうすが据えてある。重宗は先ず西方を拝して後ちその座に着き、茶をきながら障子越にうったえを聴くのであった。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
兄がモカという上等の豆を食品屋でってもらって宅で先程つぶしましたのですから焙りたてのひきたてでございます。珈琲は珈琲碾こーひーひきの器械を買って家でくのに限ります。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
余談はさておき、大岡忠相が髯を抜いたのも、板倉重宗が茶をいたのも、その趣旨は全く同一で、畢竟その心を平静にし、注意を集中して公平の判断をしようとする精神に外ならぬのである。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
豆をいてながしただけでは、ただどろどろした渾沌こんとんたる豆汁まめじるです、つかみようがありません、しかしそこへにがりをおとすと豆腐になる精分だけが寄り集まる、はっきりとかたちをつくるのです
日本婦道記:不断草 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
試み「なるほど、玄米は非常に滋養分が多いそうで僕も試みたいと思ったけれども料理の方法が分らん。これはどうしたのだね」主人「それは粉屋へ頼んで先ず玄米をこまかかせて、 ...
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
先ず玄米をよくいて碾臼ひきうすいて粉にして炮烙ほうろくで狐色になるまでります。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)