矢尻やじり)” の例文
彼に出会った人は、彼が弓と骨の矢尻やじりをつけた沢山の矢を持ち、お父さんが狩に使っていた大きなやりを、小さな背中に背負っているのに気がつきました。
負けない少年 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
後で調べて見ると、鷹の羽をいだ箆深のぶか眞矢ほんやで、白磨き二寸あまりの矢尻やじりには、松前のアイヌが使ふと言ふ『トリカブト』の毒が塗つてあつたと言ふことです。
ハワイとう火山かざんキラウエアからは女神めがみペレーのなみだ毛髮もうはつ採集さいしゆうせられ、鳥海山ちようかいさんいし矢尻やじり噴出ふんしゆつしたといはれてゐる。神話しんわにある八股やまた大蛇おろちごときもまた噴火ふんか關係かんけいあるものかもれぬ。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
槍が五十筋、弓が百ちょう、ええと太刀が五百振りか。……それから鉄砲が六十挺に、地雷弾が八十個かな。……さあさあ矢尻やじりをとぐがいい、つるを張ったり弦を張ったり。……貝とかねとは大丈夫かな。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
八五郎が指したのは、六疊の向側の唐紙で、下から二尺ほどのところに、少し古くはなつて居るが、矢尻やじりのついた眞矢が、ズブリと突つ立つて居るのも無氣味です。
「その矢は、かぶらになつた矢尻やじりが重いから、楊弓ぢや飛ばない」
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)